
カルチャー
革新と伝統が不思議なまでに混ざり合ったユニークな都市、香港。テクノロジー、金融、利便性、医療などの分野では常に最新技術を取り入れると同時に、職人の技術、食などの文化に関しては昔からの伝統を失っていません。そこには、香港人だけではなく、観光客や香港に住んでいる外国人にまで、すべての人の心に響く魅力があります。
大排檔(ダイパイドン)は、
安くておいしい伝統的な屋外レストラン(屋台)のことです。
通常、路地や屋外スペースに設置され、
頭上にはターポリン(防水シート)が張られ、
テーブルや椅子が置かれているシンプルな飲食店です。
海鮮料理から香港式のフレンチトースト、トマトマカロニスープまで、
あらゆる伝統的な料理を提供しています。
「皆さんもぜひ大排檔(ダイパイトン)で食事をしてみてください。」
点心は竹製のせいろ(蒸籠)で作られることが多いのですが、
その工程はどんどん機械化されていて、
近年はほとんどが中国の工場で作られています。
しかし、西営盤(サイインプン)にある
『徳昌森記蒸籠(Tuck Chong Sum Kee Bamboo Steamer Company)』では、
せいろを手作りで製造し続けています。
お店の小さな窓から職人の作業を見ることができるのは貴重な体験。
香港ならではのアート作品を見ているかのような気分になり、
思わずせいろを買いたくなってしまいます。
「手作りの竹製せいろが芸術品として見直されるようになり、蝋燭立てやランプ、収納箱、あるいは壁面装飾に使われるようになっています。商品の美しさと香港文化への認識を高めるために、竹製せいろが様々な用途で使用されるのは素晴らしいこと。とはいえ、やはり主な用途は食べ物を蒸すことだと思います。香港の人たちは、様々なアイディアをめぐらし、この産業を維持しようとしています。」
あらゆる産業で機械が人間の手に取って代わりつつありますが、
麻雀牌の製造にもそれが顕著に表れています。
香港では麻雀がとても盛んで、
週末ずっと麻雀に興じる人もいます。
最近では、伝統的な手描きの麻雀牌に代わって、
安価なプラスチック製のものが登場しています。
絵付けするのに時間も手間もかかる手作りの麻雀セットは
4,000香港ドル(約5万5千円)。
西九龍エリア佐敦(ジョーダン)の
『標記蔴雀(Biu Kee Mahjong)』では
香港でも数少ない麻雀牌絵付師の1人、
Cheung Shun-kingさん(通称“キングおじさん”)が働いています。
彼は一族に代々伝わる伝統的な方法で麻雀牌を手で描き、
彫刻をして、今でも麻雀セットをすべて手作りしています。
美しい磁器を取り揃えたショップが点在する香港。
1960年以前は、手描き磁器の大手メーカーが4社ありましたが、
今では『粵東磁廠(Yuet Tung China Works)』だけしか残っていません。
粵東磁廠は、1928年に広州からやってきたTso一族によって設立されました。
現在は3代目であるJoseph Tsoさんが工房を運営しています。
1960年代からは、磁器への絵付けは手描きでなく、
ゴム印や転写を利用した手製装飾になりました。
廣彩は香港の無形遺産の1つである伝統工芸品です。
工房内には磁器(廣彩と現代風)がところ狭しと並んでいて、
大量に積まれた磁器の中をじっくり探せば、
お気に入りの作品がきっと見つかるはず。
また、お皿や陶器にオリジナルのデザインを施して、
世界にひとつだけのオリジナルギフトを作ることもできます。
国内はもちろん、現在もバチカン市国、各国の王室、外国の政府関係者などを顧客としており、世界中にオーダーメイドの作品をお届けしています。